水産多面的機能発揮対策報告会について


平成26年度水産多面的機能発揮対策支援事業の事例報告会が、平成26年12月17日(木)大阪会場、平成27年1月23日(金)東京会場にて開催されます。今回はパネル展示のみとなりますが紹介します。











川口地区について
川口地区は、熊本市の西南部に位置し、
宇土市との境界にあります。境界には、
たくさんの栄養を有明海に運ぶ緑川があ
り、その河口前面には大きな干潟が広が
っています。
川口地区は、農業と漁業の町で、米や
トマトなどの野菜、ハマグリやアサリ、
海苔などを生産しています。







川口地区の干潟について
有明海の干潟面積は、1989 年時点で207km2 を有し、全国の干潟
面積の約40%を占めています(環境省1994 年)。
その中でも、川口地区を流れる緑川の河口干潟は約22km2 を有して
おり、砂質干潟としては日本で最も規模が大きいといわれています。
干潟には、ハマグリやアサリなどの貝類が数多く生息しています。
また、干潟前面は海苔の生産場であり、熊本市の3 漁協と、隣接する
宇土市の2漁協がこの干潟で採貝業や海苔養殖を営んでおります。
このように恵み多き干潟ですが、ホトトギスガイの異常発生や2012
年の九州北部豪雨による土砂の堆積などの影響で、現在、有用な二枚
貝資源が大きく減少しており、その回復が急務となっています。






川口二枚貝保全活動組織について
設立 :平成24 年11 月27 日
目的 :干潟や河口域のヨシ帯の機能回復活動を通じて、地先の干
潟環境の保全を進め、地域資源の維持・回復を図る。
体制 :漁業者、川口漁協 (286 名)
活動 :活動項目及び26 年度スケジュールは、下記のとおり。





二枚貝資源の供給基地を確実につくる
ハマグリ・アサリなどの有用な二枚貝資源の再生を図るために、本
組織ではこれら二枚貝の供給基地として母貝の保護区を設置し、その
場の環境や貝の保全を着実に行う取組みを実施しています。
設定した保護区の面積は約2.8ha。エリアの縁辺部には、ナルトビ
エイの侵入を防止する目的で、海苔養殖で使用するコンポースを約20
~30cm 間隔で立てています。保護区の中は、管理しやすいように、
底質改善区(耕うんや客土等)とハマグリ母貝区、アサリ母貝区の3
つの区画に分け、活動を行っています。
ヨイショ(腰巻きジョレン)や徒手による耕うん・ツメタガイ除去・
ホトトギスガイ除去、加えて母貝区では地区の干潟で採集したハマグ
リやアサリ母貝の移植、母貝の移動や食害を防ぐ被覆網の設置など、
様々な取組みで母貝を保護しています。
さらに、保護区に隣接する場所では、稚貝の沈着を図るために、試
験的に竹しばを設置する取組みも行っています。また、干潟だけでな
く、河口に広がるヨシ帯の維持を図る目的で毎年3 月に刈り取り作業
を行っています。





取組みの成果と今後の課題
ハマグリ母貝区については、26 年1 月に生息密度が一端減少しまし
たが、産卵期前の6 月には昨年10 月の水準まで回復しました。その
時のハマグリの殻長は平均48mm であったことから、産卵群として寄
与したと考えられ、一定の成果が得られました。一方、アサリ母貝区
については、1 月以降、低い水準で推移したことから、6 月と8 月に
地先のアサリを移植しましたが、その効果は得られませんでした。
アサリ母貝区については、今後、アサリの生息状況をより詳しく調
べ、効果が認められない原因を解明していきたいと思います。





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