「いいのり」がとれました。

本漁期も、生産者と一丸となり、一生懸命に取り組んで参りますので、ご愛顧の程よろしくお願い致します。

11月30日に第1回乾海苔入札会が開催され、落札して頂いた商社の皆様方につきましては、深くお礼申し上げます。ありがとうございました。


藤森組合長挨拶
(音声が出ますので音量にご注意ください。)


第1回入札会の主な結果は次のとおりでした。

暁初特  102.00円 落札商社  小浅商事
暁初一   16.39円   〃   西嶋海苔
暁初重一  15.39円   〃    〃
暁初○一  17.69円   〃    〃
暁初一   15.19円   〃    〃
渚初重一  16.39円   〃    〃
渚初○特  15.89円   〃    〃

川口  出品総数     988,100枚 
      金額  13,472,206円
    平均単価       13.63円

熊本県 出品総数  58,148,400枚 
      金額 722,397,701円
    平均単価       12.42円

のり検査の様子

川口アサリは美味しいあさり(堤裕昭教授レポート)



熊本県立大学

環境共生学部生態・環境資源学専攻

海洋生態学研究室 
堤 裕昭 教授







日本一、アサリの獲れる場所

 熊本市南側を流れる一級河川緑川の河口には、日本最大の河口干潟(2,200 ha) が広がっています( 写真1) 。
この干潟は、大潮時の潮位差が5m を超えること、有明海の中央部に位置していることから潮流が速く、泥の干潟が岸近くに広がる一方で、干潟中央から沖合に向けては、砂の干潟が広がっています。その砂の干潟の中央部に、川口漁業協同組合が漁業権を持つ区画があり、もとより日本一アサリの獲れる干潟(漁協) として全国に知られてきました。


写真1  緑川河口干潟。大潮時に、沖出し約5km にも
およぶ広大な砂質の干潟(2,200ha)が現れる。


1970 年代後半の川口漁業協同組合のアサリ漁獲量は年間約36,000 トンに達し、これは現在の日本全国の年間アサリ漁獲量にほぼ匹敵します。毎日、アサリの豊漁に沸いていました( 写真2) 。ところが、1980 年代になって、漁獲量が急速に減少し始め、1993 年~1995 年はほぼ休漁状態に陥りました。その原因は乱獲というような単純なものではなく、休漁しただけでは一向に漁獲量は回復しませんでした。この頃より、このアサリ漁の危機的な状態を脱する努力が、現在の藤森組合長を中心に始まり、熊本市や熊本県の水産部局の協力を得て覆砂事業に取り組み、干潟での新たな砂の堆積を促進しました。さらに私の研究室をあげてアサリ生態学的な研究や漁獲量激減の原因究明の研究に取り組み、その研究情報を提供してきました。



写真2  川口漁業協同組合の港に水揚げされるアサリ。
それぞれの漁船には、1 トンのアサリが積まれている。
(1978年2月9日、川口漁業協同組合撮影)



2000 年代に入って、これらの努力の甲斐あって、漁獲量が徐々に回復してきました。現在、川口漁業協同組合のアサリ漁獲量は年間約2,000 トン超えています( 写真3) 。最盛期に比べればまだ随分少ない量ですが、全国のアサリ漁獲量も大幅に減少している今、1 つの漁業協同組合の年間漁獲量としては、この量を上回るところはないはずです。



写真3  緑川河口干潟で再び獲れるようになったアサリ。(2002年6月、堤裕昭教授撮影)



良質な味の川口アサリ

川口漁業協同組合は、アサリの漁獲量だけで秀でいているわけではありません。緑川河口干潟から獲れるアサリは、格別に身が柔らかく味がいいのです!それは食べて見なければわからないと言われるでしょうが、食べたことがない方でも納得できる緑川河口干潟ならでは2つの理由があります。

 その第一の理由は、緑川河口干潟の面積の大きさと潮流の速さにあります。アサリ漁を行っている中央から沖合側の干潟では、梅雨期や台風シーズンに大雨が降って、緑川から大量の土砂が流れ込んで堆積しても、細かい泥分はすぐに潮流に巻きあげられて、干潟の岸近くか、沖合に運ばれて堆積します。そのため、アサリは常に泥分がわずか数パーセントにも満たない酸素のよく通ったきれいな砂の中に棲むことができます。通常、そのようなきれいな砂の中には餌が少なく、アサリはなかなか成長できません。ところが、この干潟には速い潮流があります( 引き潮の最大流速は、海水の表面ではなんと秒速1m にも達し、川の水のように流れていきます。) この干潟では、岸近くの泥が堆積した場所では、その表面に「潟の花」と呼ばれる珪藻類( 植物プランクトンの1 種) が繁茂しています( 写真4) 。それを無数のムツゴロウやカニ類が餌としていますが、速い潮流はその珪藻類を毎日水中に表面の泥ごと巻きあげては、引き潮の時に岸から沖合方向へ運び去ります。干潟の中央から沖合側のアサリの生息地は、ちょうどその巻きあげられた珪藻類が沖合へ流れていく途中にあります。そのため、この干潟では、アサリはきれいな砂の家の中に住んで、その家から水管を出して、外を流れていく餌を吸い取って成長することができます。






写真4( 左) 緑川河口干潟の岸近くに堆積した泥の表面に繁茂する珪藻類「潟の花」。
( 右) 泥の表面を顕微鏡で観察したところ。その中には、無数の珪藻類が見える。
堤裕昭教授撮影


 第二の理由は、アサリの成長の速さにあります。緑川河口干潟は九州の西岸の有明海の中央部にあります。南国であることに加え、有明海は対馬暖流の影響を受けています。そのため、冬季の水温が10℃ より下がることはまずありません。アサリは、もともと餌条件がいいことに加えて、水温が高いので、冬を通して成長が止まることがありません。その成長の速さ故に、出荷されている貝の多くは生後1 年半程度のものです。「緑川のアサリは殻が割れやすい。」という話も耳にします。市場まで輸送するときに、貝の殻が割れやすいと都合がわるいのでしょうが、それはこのアサリの食品としての質の高さを象徴する性質の1 つです。あまりの成長の速さのために、殻はどうしても薄くなりがちですが、自然の栄養条件が良い場所で育った若齢の貝の肉質は柔らかく、美味なのです。仔牛の肉が食通に好まれることと同じ理由です。川口のアサリは大事に取り扱ってください。それだけの価値のある食材です。




緑川河口干潟の生態系よ。永遠なれ!

 日本に残された最大の河口干潟。そこは手つかずの自然というよりも、おそらく日本の歴史を通して、人がアサリやハマグリを獲って、生活の糧に利用してきた干潟です。でも生態系が壊されることなく、人の生活と共存してきました。このわずか数十年間のことです。

この干潟をはじめとして、有明海の東岸に広がる砂質の干潟で、もとは豊富に生息していたアサリをはじめとする二枚貝類が、その棲息量を劇的に減少してしまいました。当然のことながら、そこには近年の人間社会の活動の影響を受けた結果としか考えられません。

そのもっとも大きな理由の1 つには、1960 年代以降の主要河川における大量の川砂利採取にあります。この砂利がコンクリートの材料となって、川から消え、干潟に流れてこなくなりました。この緑川河口干潟における覆砂によるアサリ漁の復活は、この川砂利大量採取の影響を反対に意味で実証することになりました。川は水の流れだけではなく、山で浸食された土や岩が泥や砂となって下流に流れ、干潟に堆積するという流れもあります。



有明海沿岸では100 年で約1km 土砂の堆積によって干潟が沖へ沖へと成長を続けてきました。最近、この干潟の成長が止まり、貝類が大幅に減少した生態系ができています。 緑川河口干潟をはじめ、有明海に面した熊本県の干潟で、貝類の生態や干潟生態系全体についての研究をはじめて、はや十年の歳月が流れました。

その中で、日本に残された最大の干潟生態系の現状を目の当たりにして驚きを覚えるとともに、この干潟の生態系を復活させ、アサリ漁獲量を回復させ、ここに有史以来、日本人がその自然ととも歩んできた生活の営みを、これからも絶えることなく続けていけることを願って、研究を続けています。

その研究成果は緑川河口干潟のアサリ漁復活の助けにはなってきたと思いますが、まだ、まだ、最盛期と比べると漁獲量は1/10 程度にしかすぎません。この美味なるアサリをさらに復活させるために、川口漁業協同組合の方々と協力してさらに研究を進めていきたいと思っています。


ハマグリの資源管理について

ハマグリの資源管理について 浅海干潟研究部高日新也

 右下:レーザーマーカーで標識したハマグリ   目次 1 ハマグリ資源の現状 2 ハマグリの基礎知識 3 ハマグリの資源管理 漁獲直後のハマグリハマグリのお吸い物

1 ハマグリ資源の現状と課題 ハマグリは、全国でも熊本でも 絶滅危惧種です 平成24年8月、 環境省の改訂版レッドリストで、 ハマグリは「絶滅の危険が増大している」として、 絶滅危惧Ⅱ類に指定されました。 熊本県レッドデータ ブックにおいても、 平成21年度より 絶滅危惧Ⅱ類に 指定されています。 資料名または県名評価作成年 環境省第4次レッドリスト絶滅危惧Ⅱ類2012  水産庁レッドデータブック減少2000  千葉県消息不明・絶滅2011  愛知県絶滅危惧ⅠA類2009  三重県絶滅危惧Ⅱ類2005  兵庫県Aランク2003  岡山県絶滅危惧Ⅰ類2009  愛媛県絶滅危惧Ⅱ類2003  熊本県絶滅危惧Ⅱ類2009  宮崎県準絶滅危惧2007  表:各機関の指定状況

1 ハマグリ資源の現状と課題 熊本のハマグリは、全国的にも珍しい 純粋なハマグリです チョウセンハマグリ  茨城・千葉県  太平洋沿岸  シナハマグリ  輸入・畜養  伊勢湾奥  有明海、八代海  ハマグリ  平成18年の漁獲量  1位 茨城県 579トン  2位 熊本県 106トン  3位 千葉県 82トン  4位 三重県 60トン  ※農林水産統計

1 ハマグリ資源の現状と課題 熊本県沿岸のハマグリ主要漁場  菊池川河口域  最大漁獲量 238トン(S42)  白川河口域  最大漁獲量 402トン(S61)  緑川河口域  最大漁獲量 5,788トン(S49)  八代海湾奥東部  最大漁獲量 822トン(S42)  福岡県 長崎県 佐賀県 有明海 八代球磨川河口域  最大漁獲量 98トン(H7)  緑川河口域が最大の生産地です (農林水産統計)

1 ハマグリ資源の現状と課題 以前と比べ、漁獲は大きく減少しています  漁獲量  生産額  (億円) (トン)  (農林水産統計)  昭和49年  5,855トン  昭和53年  33.6億円  平成18年  106トン  0.83億円  漁獲量と生産額の推移

2 ハマグリの基礎知識 夏(7~8月)に産卵します ※産卵開始サイズは、殻長30~40mmと 考えられています D状期幼生 アンボ期幼生  着底稚貝 フルグロウン期幼生  供与:千葉県水産総合研究センター  産卵と浮遊幼生について 浮遊幼生の変態過程 浮遊幼生調査の結果(緑川河口域)  7~8月に浮遊幼生が確認される

2 ハマグリの基礎知識 ハマグリは、数年かけてゆっくり成長します 定期サンプリングの結果(緑川河口域)  6月7月8月9月10月11月12月1月2月3月4月5月  発生年:稚貝で越冬  発生翌年:10~20mmに成長  発生2年後:30mm程度まで成長  9月頃、稚貝の着底が観察される(赤丸)  発生年は、稚貝は成長せず、越冬している(ピンク矢印)  発生翌年に10~20mm、2年後に30mm程度まで成長する  (水色矢印、緑矢印)

2 ハマグリの基礎知識 ハマグリは、河口付近に 多く生息します 0  1km  凡例 :調査点 :監視塔 :養殖場 :灯台 :覆砂漁場調査点  :臨時調査点   平成4 度 緑川河口域 ハマグリ生息状況   全サイズ単位:個m )  2 年 ( 6月16~18、31日 / 2  ※赤字は覆砂漁場の生息密度を示す。 生息場所について ハマグリ生息状況調査の結果、 稚貝、成貝とも河口域に多く 確認されました(図の赤丸)。 これは、ハマグリが生息できる 塩分の範囲が、他の二枚貝 (アサリやシオフキなど)と 比較して広いためと考えられます。 生息状況調査の結果(緑川河口域)

2 ハマグリの基礎知識 ハマグリは、漁場を広域に移動します 標識放流試験の結果(緑川河口域)  移動生態について

3 ハマグリの資源管理 1:資源の状況を知りましょう 資源管理を行うにあたって、現在のハマグリの漁獲量や 生息状況について正確に把握する必要があります!  ○各漁協で、各月の漁獲量を 記録しましょう。 ○定期的に生息状況調査を実施し、 ハマグリ漁場の状況(稚貝、 食害生物や底質の状態など)を 把握しましょう。 具体的には…  写真:平成24年10月に八代海で実施された、 自主的なアサリ漁場調査 写真:調査野帳

3 ハマグリの資源管理 1:資源の状況を知りましょう 漁場マップの作成例 まずは、状況を知るところから始めましょう

5.5分はまだ若者のハマグリです 2:漁獲サイズを大型化しましょう 3 ハマグリの資源管理 現在の漁獲サイズ(殻長30mmより大きい)では、 産卵前のハマグリを獲っている恐れがあります!  産卵母貝を出来るだけ長く 漁場に残すことで、産卵機会の 増加が見込まれます。 一気に大型化することは 難しいかもしれませんが、 殻長30mm(殻幅約5.5分)  →35mm(殻幅約6.5分)  →40mm(殻幅約7.5分)  と、段階的に大きくしましょう。 県名採捕禁止サイズ(参考:レードデータ)  千葉県30mm以下消息不明・絶滅 愛知県30mm以下絶滅危惧ⅠA類 三重県30mm以下絶滅危惧Ⅱ類 兵庫県50mm以下Aランク 岡山県30mm以下絶滅危惧Ⅰ類 福岡県40mm以下 佐賀県40mm以下 (有明海は30mm以下)  長崎県30mm以下 熊本県30mm以下絶滅危惧Ⅱ類 大分県40mm以下 宮崎県60mm以下準絶滅危惧 参考:他県の漁業調整規則 福岡、佐賀、大分では殻長40mm  以下が採捕禁止であり、 熊本は周囲の県と比較して小型の ハマグリを採捕しています。

効果は、産卵母貝の保護だけはありません 2:漁獲サイズを大型化しましょう 3 ハマグリの資源管理 大型化は、収入増加も期待出来ます!  ・1ネット分の殻長30mmのハマグリを全て殻長40mmまで 育てることで、約2ネット分になります。 30-32mm 35-37mm 40-42mm  平均重量(g) 8.9 11.2 17.4  1ネット(10kg)あたり個数1124 893 575  殻長 ・過去に実施した飼育試験では、殻長30~40mmのハマグリの 1年間の生残率は約70%であり、累積成長は14.5mmでした。 表:各サイズの平均重量と10kgあたり個数 つまり ・自然死する分を差し引いても、成長するのを待って 漁獲する方が漁獲量は増える!?

3 ハマグリの資源管理 3:夏(7~8月)の産卵期には出来るだけ休漁し、 秋以降に単価が上がってから漁獲しましょう ひなまつりの前に、単価が上昇します

3 ハマグリの資源管理 3:夏(7~8月)の産卵期には出来るだけ休漁し、 秋以降に単価が上がってから漁獲しましょう 高くなってから売ると、一石二鳥です 夏季(7~8月)に漁獲されたハマグリが、冬季(11~2月)  に漁獲されたものとして年間漁獲金額を試算したところ、 漁獲金額は16%程度増加しました(試算1)。 また、一年間に漁獲された全てのハマグリが冬季(11~2  月)に漁獲されたものとして同じ試算を行ったところ、 年間漁獲金額は66%程度増加しました(試算2)

3 ハマグリの資源管理 4:漁獲量制限を行いましょう ネット数制限は、稚貝の生息状況も加味し、 翌年以降の漁獲も見越して設定しましょう 漁場全体で統一した漁獲制限が必要です ハマグリの生息状況の把握 単価の動向把握 ネット数制限の強化または休漁  資源量が多い資源量が少ない 操業者数の把握 ネット数制限の維持ネット数制限の緩和 ネット数制限の維持 単価が高い単価が安い 操業者が多い操業者が少ない ネット数制限の取り決め方の例

3 ハマグリの資源管理 5:保護区を設置しましょう 安心して産卵出来る場所を作ってあげましょう 保護区は、 河口付近のハマグリが 生息している場所に設定 し、 可能な限り大きく、 コンポース等で囲って 明確にしましょう。 区画を網で囲い、 覆いを被せることで、 ハマグリの流出や ナルトビエイなどの 写真:保護区の設置例(竜北地先) 来遊を防ぎます。

3 ハマグリの資源管理まとめ 着実に、時間をかけて取り組みましょう これまでにあげた5つの管理手法を同時に進行していく ことが、資源回復の早道です。 年間スケジュール例

ご静聴ありがとうございました 資源管理マニュアルは、 3月迄に発行、配布予定です。


川口漁業協同組合概要


組合長 藤森隆美

所在地 〒861-4123 熊本市南区川口町3013番の4

電話番号 096-223-0006

FAX番号 096-223-2818


熊本海苔の種付け

美味しい熊本ノリ種付け始まりました。


10月19日  平成25年度 種付け開始!!
絶好の種付け状況の中、採苗がスタートしました。
25年度も期待してください。
美味しい海苔を皆様の食卓へ届けるため一生懸命がんばります。

熊本のリ種付けの様子(3分20秒)



海苔の旨み調査システムの導入

平成18年11月19日 海苔の旨み調査システムの導入

 川口漁業協同組合では、海苔成分計JM-2000を導入し、さらに旨味検査のための独自のシステムを開発し、導入しています。



 川口漁業組合では、美味しい海苔であることを専用の海苔の旨みを測る機械にて海苔の旨みを数値化して測ることを行っています。その一部始終を紹介します。

まず、海苔の旨みを計る機械に海苔を通します。

 ここで海苔の旨みが測られます。

 機械にて旨みを数値化して表示します。

海苔の旨みを測る機械につないだ別の機械に測定値が表示されます。

 測定した数値はパソコン内に取り込むことができ、作業の効率化ができます。
また、検査結果の数値等を印刷することができます。

 生産者名を選ぶことで、簡単に検査結果を印刷することが出来ます。


 検査結果を印刷する際には、生産者名、生産者の顔写真、生産者のコメント等も同時に印刷されます。


 印刷された「海苔旨味検査表」です。
これがあれば美味しい海苔なのかそうでないのかなどを知ることが出来ます。

これが今回紹介したシステムの全体写真です。
 左から海苔の旨味検査機、検査機の数値表示端末、海苔旨味検査表を印刷するプリンター、数値データが残るパソコンです。

ナギサ海苔の特性



質問
なぜ、渚(ナギサ)はおいしいのですか?

回答
はい、それはおいしい品種を使っていることと、栄養豊かな漁場で養殖し、
一番最初に伸びたおいしい一番のりを若芽の短い時に摘んで生産するからです。


①品種について
あかつきとスサビ系優良株の混合

あかつき
東京水産大学教授の故三浦昭雄氏がおいしい海苔を求めてアサクサ系とスサビ系を受精させて作成。スサビ系優良株浮流し漁場の比重に合わせて、おいしい品種を選抜し、生産者自らが味見検査して選抜したもの。

②漁場について
:川口漁協の浮流し漁場は、阿蘇山を始めとした九州連山からの豊かな栄養を含んだ緑川が流入する有明海でも屈指の好漁場であり、海苔をはじめ、あさり、ハマグリ、くるまえび、ひらめなど豊富な魚介類にも恵まれたバランスの取れた漁場です。

③摘み取りについて
:海苔は一番摘みがもっともおいしく柔らかく香りに優れています。この一番摘み。でも葉の長さが30センチを超えると、この特徴が薄れてしまいます。そこで川口漁協では葉長20センチ以内の最良の時期のわずか三日間の間に一斉に摘み
取ります。 



質問
従来より、おいしい海苔は支柱で作られたものと聞いていましたが、なぜ、浮流しでおいしい海苔作りを始めるのですか?


回答
はい。浮流し養殖は熊本以外でも行われていますが、浮流しのなかでは有明海で行う熊本の海苔がもっともおいしいと言われてきました。そこで、この特徴を生かした製品作りを積極的に行い、品種を選抜し若芽摘みを実施しています。熊本では、従来からの支柱ではなく、浮流しで最高においしい海苔を作って消費者の皆さんにお届けしていきます。

アカツキ海苔の特性




1. 産地紹介
  当組合は、熊本市の西南部に位置し、地区の西側が海の幸の豊富な有明海に面し、のり養殖業はもとより、アサリ・ハマグリの採貝業、クルマエビ漁などの漁業が活発に行われております。
特に、一級河川「緑川」を有する広大な干潟漁場で、豊富な水量と栄養塩があり、のり養殖業については恵まれた漁場で、古くからさかんに行われております。12名の行使者で養殖が行われます。


2. 「アカツキのり」の目的
  価格低迷、後継者不足により、のり養殖者の廃業が相次ぐ中、何か打開策はないかと検討を重ねておりました。当時は食の追及を求めて、「量より質へ」という傾向が見受けられました。消費者の皆様から、「おいしいのりを食べたい。」、また、流通業界からも「うまいのりづくり」の要望が高まっていましたので、最後の生き残りをかけて平成2年度から取り組みを始めました。


3. 「アカツキのり」の特性

大きな特色は

     ①クロロフィルa、フィコエスリン、フィコシアニンの含量が多い。
     ②乾海苔の光沢に優れている。
     ③乾海苔の歯切れ良い。
     ④乾海苔の甘味が強い。
     ⑤乾海苔の香りが強い。

という5つの特色が上げられます。

この品種は、東京大学の三浦昭雄教授によって開発育成され、母親がスサビ緑芽、父親がスサビ赤めで、乾海苔に求められている、「歯切れ」・「黒さ」の良さを追求し遺伝子改良が行われ、その結果「甘味」・「香り」がプラスされたもので、「うまいのりづくり」を目的に行っています。

4. 「川口アカツキ」ブランドの確立
  次の項目に重点をおき、ブランドの確立に努めると共、商社の皆様に安心して供給いただける製品づくりを実施しています。

 (1)「アカツキのり」は、すべて支柱漁場で養殖し、採苗→育苗→摘採→生産まで、一貫した共同管理体制をとり、製品の統一化に努める。また、「アカツキのり」養殖場所についても、他品種混入を防止する為、「アカツキのり」養殖区域と他品種養殖区域というように、区分けして養殖をしております。

 (2)格付け検査については、色合わせだけでなく、実際に食して、「味」・「香り」・「焼き色」の点を重視して行う。

 (3)品質向上を図るために、生ノリ段階で浮草・ワラ・小エビなどの異物を取り除く異物除去機、加工した乾海苔から異物が混入していないか見分ける異物選別機を生産者全員が設備し、品質の管理を徹底する。また、当組合乾のり検査場にも異物検査機を導入しており、随時、抜き打ち検査を実施し、品質管理に努めております。

 (4)食品としての自覚を持ち、製造に使用する海水についても、備長炭を使用し、海水に含まれる細菌等を吸収させ浄化した海水を使用している。


 川口ブランド 「アカツキ」 「ナギサ」 

美味しさに対するこだわりが違う!

当組合では生産者に対し、ノリ生産・製造にあたり、除去機及び選別機の全員導入(異物混入対策)を手始めに、商社及び県漁連からの御指導等を厳守するよう指導し、「喜ばれるのり作り」を合言葉に製販一体となり日々鋭意努力いたしておりますので、趣旨ご理解の上、当組合の製品につきまして更なるお引き立てを賜わりますよう、宜しくお願い申し上げます。





種(たね) が違う!



場所 が違う!



方法 が違う!



川口漁協のおいしい熊本海苔ができるまで

1.システム船による海苔の摘菜(海苔網から海苔を摘み取る、横から)




2.システム船による海苔の摘菜(海苔網から海苔を摘み取る、正面から)



3.摘み取った海苔の陸揚げ(海→船)



4.摘み取った海苔を工場のタンクへ移送(船→工場)



5.海苔の加工工程1(荒く切る、ゴミを取る)



6.海苔の加工工程2(小さく切る、ゴミを取る)



7.海苔の加工工程3(整える)



8.海苔の加工工程4(刻まれた海苔が1枚の海苔へ)



9.海苔の加工工程4 詳細1(形を整える)


10.海苔の加工工程4 詳細2(水分を取る)



11.海苔の加工工程4 詳細3(乾かす)



12.海苔の加工工程4 詳細4(取り出す)



13.海苔の加工工程4 詳細5(検査して束ねる)



14.海苔の検査(味、色、重さなどから等級を決める)


15.海苔の検査後、箱詰め



16.検査を終え、入札を待つ海苔




アサリの資源管理の必要性について

かつては有数のアサリ生産量を誇り、稚貝発生も毎年見られてその量も多く、それらが漁獲に結びつく生産性の高い漁場でしたが、近年は漁獲量も減少し、漁場の生産力が低下しています。これは、乱獲等の母貝資源の減少による再生産能力の低下が、その一因と考えられます。

  現在、少しずつではあるが、効果が現れていますので、資源状況を把握した計画的採捕と産卵母保護の為の保護区の設定等、漁場管理を徹底して実施する事により、アサリ資源を安定化させ、もって漁家経営の安定を図ることが必要です。

  アサリ資源管理の基本的考え方は、

     漁場の持つ資源状況を把握・維持し
     漁場の潜在力を十分に引き出し
     資源の安定利用を推進していくことです。

 まず、アサリ資源回復を図る為に、どのように管理をするかという事を考えた結果、
 
    ①適正サイズでの漁獲
    ②資源量に応じた漁獲量の決定
    ③産卵母貝を確保するための保護区設置

    を行う必要がありました。

 その2点を徹底・維持する為には、古くから行われていた地元アサリ業者と漁業者との相対取引では、捕獲サイズ・捕獲量の把握が全く出来ず、また、

    「採るから買う。買うから採る。」と乱獲をして資源が枯渇するので、

資源を適正に管理するためには組合主体の「共販体制の確立」が急務と考え、地元商社とのトラブル、漁業者からの反発もありましたが、根気良く漁民大会等を開催し漁業者の理解を受けながら、平成13年9月より共販をスタートし、管理型漁業を推進しております。

現在の取り決め(川口漁業協同組合あさり漁業管理規約)

現在の取り決め(川口漁業協同組合あさり漁業管理規約)

第1条 この規約は、川口漁業協同組合のあさり漁場である有共第14号及び有共第17号共同漁業権漁場内におけるあさり資源の適正な管理に関し、必要な事項を定めることを目的とする。
第2条 あさり漁業を営む者は次のいずれかに該当する者とする。
(1) 組合員
(2) 組合員の漁業後継者
(3) 組合員の家族(学生等の就学者は除く。ただし、理事会で審議の上、適当と認められる場合は認める。)
(4) 当該漁業にかかる増殖事業及び共販事業に対して協力する者
第3条 あさり漁業を営む者は、4分以上のユリ目をもちいて選別を行う。
第4条 前条の選別確認は、出荷時に荷揚げ場において役職員が検査し、選別不良者に対してはゆりなおしを命じる。
第5条 あさり漁業を営む者が1日に漁獲できるあさりの量の上限は以下のとおりとする。
(1) 男性組合員              7ネット
(2) 組合員の男性漁業後継者及び男性家族   4ネット
(3) 女性組合員               4ネット
(4) 女性従事者               3ネット
(5)自家消費は、1組合員あたり5kg以内とする。
第6条  有共第14号及び有共第17号第1種共同漁業権行使規則(以下「行使 規則」という。)に定めるあさりの殻長制限及び上記第5条の制限の遵守を徹底するため、監視員又は役職員により漁船を検査する。
    なお、原則として軽トラック等での出荷は認めない事とする。
第7条 出荷に際し、一潮間に2回以上ゆりなおしを命じられた者は、次の操業からユリ目を4.1分として選別を行う。
第8条  上記第5条のあさり漁獲量制限数を超えて持ち帰った場合は、理事会の承認を得て、当該行使者に対して当該漁業の全部又は一部を停止させることができる。
第9条  上記第6条の漁船検査を拒んだ場合、及び上記第7条の処分を拒んだ場合は、当該行使者に対して当該漁業の全部又は一部を停止させることができる。
この規約は、平成15年4月3日から施行し、理事会で廃止するまで適用する。
3. 今後の課題
  アサリ資源の復活により、漁業者が増加し喜ばしいことではありますが、これからの問題も山積しています。
急増したアサリ漁業者に対し、漁業収入を安定させるともにアサリ資源維持をおこなうために、徹底した資源管理措置、有害生物からの保護対策、未開発漁場の開発等が急務として要求されています。
また、「盛り砂効果」については、効果が数年しか持続しないので、応急措置として、覆砂事業を継続で実施していますが、近年は砂の供給が困難になっておりますので、ヘドロ化した有明海をどのようにして元の姿に戻すかが、これからの課題と思われます。

アサリ漁場復活に向けて
(盛り砂事業における当組合の経過)

アサリ漁場造成の経緯

アサリ貝は、昭和56年度生産量9,400tをピークに激減し、昭和60年代には全く生存しない漁場となり、アサリ・ハマグリ漁業者も他に生活の場を求めに行いきました。組合は、資源の回復を図る為に、他県から稚貝を購入し蒔き付け事業を継続で実施したり、浮泥の堆積を防止し稚貝の発生環境を作る為に、漁場作れいして淡水を導流したり、また、その廃土を盛砂したり等、いろいろと試行錯誤をしましたが、一向に成果は上がりませんでした。

アサリの浮遊幼生は時期になると現れますが、当漁場に着定しても数ミリ程度までは成長し、大きくなる前にへい死していました。そこで、当時の藤森理事(現在の藤森組合長)が砂質が原因ではないかと考え、平成7年7月に熊本市を事業主体として、熊本県赤瀬沖漁場の白砂を「盛り砂」し漁場造成を試みました。当時は、「砂の上に砂を撒いてどうするのだ。無駄な費用を使うな。」と厳しい意見もありましたが、その結果、その区域だけ稚貝の着定後に育成が確認され、漁場復活の兆しが見え始めました。


モデル地区として関係機関と連携を取りながら調査した結果、

①泥の性質がガタから砂に変わり粒度組成がアサリ貝の成育しやすい環境になったのではないか。

②盛り砂箇所だけ地盤が高くなり浮遊幼生が沈着しやすくなったのではないか。

③イガイの浮遊幼生も沈着しそのイガイがマットを表面に形成し、その下にアサリ稚貝が潜り込み生息しやすくなった。

と考えられています。


平成9年4月(4,100t)、平成10年4月(5,200t)、平成12年6月(2,500t)、平成13年7月(1,300t)、平成14年6月(1,500t)、平成15年6月(1,500t)と継続で干潟一帯に砂散布事業を実施すると共に、有害生物ツベタ貝及びナルトビエイの駆除事業、浮遊するアサリ幼生の漁場へ定着させる竹シバ及び被覆網の設置事業、稚貝移植事業等と漁場改良・管理を実施しています。

有明海の漁場を視察体験 9月7日 

熊本県立大学の堤裕昭教授から、「ヒールドワーク学習の一環として川口漁協のアサリ・ハマグリ漁場において生物の学習をしたい」と依頼を受け、学生27名を漁場に招き藤森組合長自ら対応し、現状を交えて説明を行った。初めて海に訪れた学生も数多くいて、興味深げにメモを取ったり、デジタルカメラを片手に、潮干狩りをしたり、楽しく学んでおられました。



また、去る8月11日には、熊本県立大津高等学校についてもサイエンスパートナーシッププログラムとして漁場視察の受入を実施しました。

藤森組合長は、若者が海に興味を持っていただくことは、大いに結構なことと喜んでいました。

川口漁業協同組合の概要 平成24年度の業務報告



平成24年5月1日から
平成25年4月30日まで















組合員及び出資口数


貸借対照表



損益計算書



出資金および準備金等の内訳



固定資産


共済事業


購買事業


販売事業


地区内漁業の概況


地区内経営体数


H24貝類共販実績


乾ノリ共販実績