豊かな有明海を取り戻すために。新聞社から取材

7月20日 晴れ 新聞社から取材にこられました。
豊かな有明海を取り戻すために。
ヘドロがたまっている海底環境の改善を図るため、貝ケタを使用して浮泥が堆積した海底の撹拌を実施しています。
この事業は国が県に依頼し2009年から開始。
撹拌区域を定めて、同じ耕うん器具を用いて3年継続で実施する12日間、より効果的な耕うん手法を調査するために色んな器具を用いて単年で実施する5日間、底質環境を調査すると共にゴミを回収する5日間、述べ22日間、熊本市と宇土市沖を河内から網田までの9漁協の漁業者で耕うん調査を行っています。
藤森組合長はこの事業の責任者として毎日、海に出で作業を見守っています。取材に対して組合長は、「耕うんを続けた場所では近年少なくなったアカガイやクルマエビの稚魚などが戻ってきた。有明海再生のため引き続き調査を進めてほしい。」と話されていました。
詳しくは7月21日の熊日新聞に掲載されています。

熊本県水産振興課と熊本県漁連に対して提出された、藤森組合長の結果報告書も紹介します。熱いです。

結果報告書
平成27年より開始した3年継続の「有明海特産魚介類生息調査(継続)」について報告致します。
まず、ヘドロが堆積している漁場において、1年目、2年目の漁獲は見られませんでしたが、本年が最終という事で当組合員に特別に金網を設置して頂き漁獲調査を行った結果、写真を添付し次の通り報告致します。
1.結果は何も居なかった場所において3年目の今回はかなりの成果が現れた。
2.今後も更なる実証検証の拡大をお願いしたい。
3.次回3ヶ年の継続事業の場合「攪判と漁獲調査を目的として」金網の設置を要望したい。
写真を見て分かるように、継続事業はこの様な結果と希望を、我々漁業者に対して与えてくれます。
これからも有明海再生に対し、関係各位に更なるご尽力をお願い致します。












耕うん区域の漁獲調査も行っています。
○げんしき網による漁獲調査



 (H29.7)



○えび流し網による漁獲調査
    




 (H29.7)

川口漁業協同組合の概要 平成28年度の業務報告

事業概況書

第28年度 平成28年5月1日から 平成29年4月30日まで


Ⅰ 組合の事業活動の概況に関する事項
   1.一般的概況
 2012年の九州北部豪雨後、過去最低水準まで落ち込んでいたアサリの漁獲量に復活の兆しが見えております。水研センターの調査でも緑川河口全域においてアサリ分布が認められ、平均生息密度は237個/㎡、覆砂漁場や臨時定点では1,000個/㎡を超える場所も多数確認され、29年度のアサリ漁獲量は28年度よりさらに増加すると見込まれます。産卵母貝確保のための保護区設定、エイ類やツメタガイ等の食害対策、アサリ漁は産卵期の4月と10月を禁漁、ハマグリは産卵期の8月を禁漁とする取り組み等の成果が表れていると思われます。しかしながら、漁家経営は引き続き厳しい状況下にあり、水産多面的機能発揮対策、水研委託事業などの、直接、漁業者の収入に結びつく事業を実施しました。
 組合の運営状況につきましては、販売事業と購買事業が好調で当期剰余金は11,861,508円となりました。繰越損失金824,404円を差し引き、当期未処分剰余金が11,037,104円となり黒字決算でした。
 主な事業活動の成果については次のとおりです。

主な事業活動の成果については下記のとおりです。

①.信用事業
 船外機換装及び漁船購入については、国の半額補助及びリース事業の利用が多く、漁業近代化資金、熊本市農林漁業振興資金等の制度資金の貸付はありませんでした。


②.共済事業
 新規契約については、前年度同様に普通厚生共済、生活総合共済、乗組員厚生共済、火災共済、全てに計画を達成することができました。

③.購買事業
 震災復旧工事等により、汚濁防止ネットの取扱高が前年度2,180万円から8,847万円と4倍の売り上げ、工事資材の利益(手数料)が1,443万円となり、結果、取扱目標額8,500万円に対し14,700万円の取扱いとなりました。
 
④.販売事業
 1)ノリ
 10月17日から採苗を開始し順調に育苗が進むかと思われたが、種付け後の高水温の影響で(例年比1.5℃前後高)、新芽の芽流れや赤ぐされ病の被害もあり、秋芽網生産は前年度同様に不作でした。冷凍網生産は12月21日から張込みを開始、水温も低下し色つや品質もまずまずで、全国の生産枚数量が伸び悩み流通での品薄傾向も重なり、共販価格が高値で推移しました。結果、平均単価は前年度10.83円から14.38円と3.55円髙、生産枚数で前年度対比110%、生産金額で前年対比135%、1行使者当たり平均3,400万円と過去最高を記録しました。
 
 2)貝類
 アサリは前年度5,609ネット2,800万円から10,787ネット5,400万円と増加、ハマグリは、前年度39トン3,950万円から42トン4,380万円と増加し、取扱金額は前年度6,770万円から9,780万円と、約3,000万円の増加でした。

 3)その他
 魚類関係は市場実績として、前年度557万円から236万円と厳しい状況でした。
くらげとおごのりの取扱いはありませんでした。

⑤.指導事業
 1)水産多面的機能発揮対策について
 本年度も国のモデル地区の認定を受け、干潟や河口域のヨシ帯の機能回復を通じて、地先の干潟環境の保全を進め、地域環境及び資源の維持・回復を図りました。
・交付金 19,985,888円(うち熊本県と熊本市 各100万円)

 2)二枚貝資源緊急増殖対策について
 水産庁の国庫補助を受け、保護区内に軽石と砂利を入れたアサリ着生基材を設置し、産卵用母貝を確保し産卵させることによりアサリ資源の回復を図る試験を漁業者で実施しました。
・事業費 1,725,367円(うち国庫補助金860,000円)

 3)アサリ・ハマグリ資源重点保護対策事業等について
 熊本県の委託を受け、熊本県水産研究センター指導のもと、干潟の耕うん及び食害生物駆除等を実施しました。
・ハマグリ母貝保護試験区の設置業務 1,050,000円
・アサリ 資源重点保護対策業務   1,600,000円
・ハマグリ資源重点保護対策業務   4,540,000円

 4)漁場環境保全対策について
 熊本市の補助を受け、漁場を漁船により貝ケタを用いて耕うんしました。
・事業費 340,000円(うち熊本市補助金170,000円)

 5)繁殖保護事業について
 ハマグリの繁殖保護及び価格調整を図るため、ハマグリを買取り保護区内に放流しました。買取価格・・中1,000円、大1,050円
・H29.3/23 ~ 29   569㎏  562,627円
・H29.4/ 7 ~ 13  1,238㎏ 1,237,480円
・H29.4/21 ~ 27    2,644㎏ 2,633,940円   合計 4,451㎏ 4,434,047円
 例年同様に、熊本市、宇土市、4県合同の稚えび放流事業を、当組合が窓口となり実施しました。

 6)熊本港周辺海域漁業振興事業について
 保護区内に産卵用母貝(ハマグリ)を放流し種苗の供給を図りました。
・事業費 6,319,529円(うち熊本県補助金5,000,000円)
・内訳  産卵用母貝放流     7,004㎏×902.27円=6,319,529円

 7)漁業経営セーフティーネット構築事業について
 機器等導入緊急対策事業等の支援を受けるためには、セーフティーネット事業の加入が条件となっているため、燃油高騰に備えると共に、採貝者を含めたノリ生産者以外にも加入を推進しました。
・28年度末加入者数  74名(うち新規加入4名)
    
 8)浜の活力再生プラン支援事業について
 熊本県有明海地域(荒尾市、長洲町、玉名市、熊本市、宇土市)で、浜の活力再生広域プランを実施しました。

 9)競争力強化型機器導入緊急対策事業について
 省エネ機器(船外機換装)を導入し、燃油高騰に左右されない漁業経営を目指すために事業が実施されました。
・事業を実施した組合員数 5名
・事業に要した経費 8,811,396円  助成金の額 4,078,000円

 10)水産業競争力強化漁船導入緊急支援事業について
 船外機船を導入し、持続可能な収益性の高い漁業経営を目指すために事業が実施されました。※自己負担分は5年間のリースで支払い。
・事業を実施した組合員数 2名
・事業に要した経費 10,603,343円   助成金の額 4,608,955円

 11)各種事業について
 熊本県漁連が窓口となり昨年度同様に実施された、熊本県補助事業の海岸清掃及び海底清掃事業、九州農政局及び全漁連委託事業のナルトビエイ駆除事業、九州農政局委託事業の有明海底質環境調査事業、九州農政局委託事業の有明海特産魚介類生息環境調査に参加し、漁場の保全に取り組みました。

 12)その他
 任期満了に伴う有明海区漁業調整委員会の委員選挙が7月25日、公示され、藤森隆美代表理事組合長を含む6人が立候補し、定数と同数だったため無投票当選となりました。任期は4年間です。
 藤納利直理事が、長年にわたり水産業の発展に寄与された功績をたたえられ、熊本県の農林水産業功労者として受賞されました。
 九州北部豪雨、熊本地震等度重なる災害に見舞われ、復興祈願及び航海・操業安全と大漁・豊作を見守ると共に、皆様のご健勝と安全、地域の発展を願い、天明漁港内にえびす像を建立しました。建立に際しご寄付を頂いた皆様方に対して深く御礼申し上げます。


(2)対処すべき重要な課題

 ①.漁家経営の安定化

 2012年の九州北部豪雨後、最低水準まで落ち込んでいたアサリ漁に、回復の兆しが見えております。しかしながら、まだまだ漁家経営は厳しい状況下にあります。このような中、水産多面的機能発揮対策等、国の事業を積極的に利用し、漁業収入が少しでも増加するように努めてまいります。

組合員及び出資口数




貸借対照表


損益計算書


出資金及び準備金等の内訳



共済事業



購買事業



販売事業






地区内漁業の概況



乾ノリ共販実績





H28貝類共販実績



地区内経営体数