第29年度平成29年5月1日から平成30年4月30日まで
Ⅰ 組合の事業活動の概況に関する事項
1.一般的概況
主幹漁業のアサリ漁が、順調に回復し明るい兆しが見え始めています。海苔養殖業についても、生産量は昨年度より減少しましたが好調を維持しています。
しかしながら漁家経営は引き続き厳しい状況下にあり、本年度も水産多面的機能発揮対策、水研委託事業などの、直接、漁業者の収入に結びつく事業を実施しました。
組合の収支につきましては、販売事業と購買事業が好調で当期未処分剰余金は2,689,895円となり昨年に引き続き黒字決算でした。
主な事業活動の成果については次のとおりです。
①.信用事業
船外機換装及び漁船購入については、国の半額補助及びリース事業の利用が多く、漁業近代化資金、熊本市農林漁業振興資金等の制度資金の貸付はありませんでした。
②.共済事業
新規契約については、前年度同様に普通厚生共済、生活総合共済、乗組員厚生共済、火災共済、全てに計画を達成することができました。
③.購買事業
汚濁防止ネット供給高が4,413万円と好調で、取扱目標額8,700万円に対し10,751万円の取扱いとなりました。
④.販売事業
1)ノリ
10月20日から採苗を開始し、水温は22.5℃と適水温で殻胞子の放出も順調でした。しかし、台風21号の接近と重なったため、時価で出港できなかったり、雨による芽の脱落を警戒し、ラッカサン撤去が遅れたため厚付き傾向となった。冷凍入庫はおおむね順調に行われ、秋芽網は11月24日から摘採が始まったが、支柱漁場はバリカン症がひどく生産が少ないまま12月21日に秋芽網の一斉撤去が行われた。冷凍網出庫は12月24日から行われ、年明けの初入札ではクモリ系の製品が多くみられたが、低水温だったため病害被害もなく2月までは順調に生産された。3月に入ると水温上昇とともに色落ちが始まり漁期が終了しました。
価格は昨年度に引き続き、流通での品薄傾向も重なり高値で推移しました。1月18日開催の第4回入札会にてアカツキ初特が163円/枚で落札され、日本最高値を記録しました。しかし、三重県漁連が1月26日に開催した入札会において165円/枚で落札され、最高値が更新されました。
2)貝類
アサリは前年度129トン5,400万円から183トン7,600万円と増加しましたが、ハマグリは前年度42トン4,380万円から29トン3,500万円と、ハマグリ資源は減少傾向にあり産卵母貝を保護する取り組みが必要となっております。取扱金額ではアサリが増えた分、前年度9,780万円から10,900万円と、約1,100万円の増加でした。
3)その他
魚類関係は市場実績として、前年度236万円から285万円と厳しい状況でした。
くらげとおごのりの取扱いはありませんでした。
⑤.指導事業
1)水産多面的機能発揮対策について
本年度も国のモデル地区の認定を受け、干潟や河口域のヨシ帯の機能回復を通じて、地先の干潟環境の保全を進め、地域環境及び資源の維持・回復を図りました。
・交付金 20,008,889円(うち熊本県と熊本市 各300万円)
2)二枚貝資源緊急増殖対策について
水産庁の国庫補助を受け、保護区内にアサリ着生基材を設置し、産卵用母貝を確保し産卵させることによりアサリ資源の回復を図る試験を漁業者で実施しました。
・事業費 1,944,323円(うち国庫補助金969,000円)
3)アサリ・ハマグリ資源重点保護対策事業等について
熊本県の委託を受け、熊本県水産研究センター指導のもと、干潟の耕うん及び食害生物駆除、保護区域の設置等を実施しました。
・漁場環境改善対策調査業務委託 5,120,000円
・アサリ 資源重点保護対策業務 4,080,000円
・ハマグリ資源重点保護対策業務 1,600,000円
4)繁殖保護事業について
ハマグリの繁殖保護及び価格調整を図るため、ハマグリを買取り保護区内に放流しましたが、10月の大雨の影響か原因は不明ですが死滅し5%の回収率でした。
・ハマグリ蒔き付け量 10,005㎏ 回収量 570㎏
本年度も次のとおりH27保護区に試験的に放流しています。
・H30.4/25 ~ 30 292㎏ 291,500円 単価1,000円
例年同様に、熊本市、宇土市、4県合同の稚えび放流事業を、当組合が窓口となり実施しました。
5)熊本港周辺海域漁業振興事業について
保護区内に産卵用母貝(ハマグリ)を放流し種苗の供給を図りました。
・事業費 6,752,916円(うち熊本県補助金5,000,000円)
・内訳 産卵用母貝放流 5,554㎏×1,215.86円=6,752,916円
6)漁業経営セーフティーネット構築事業について
機器等導入緊急対策事業等の支援を受けるためには、セーフティーネット事業の加入が条件となっているため、燃油高騰に備えると共に、採貝者を含めたノリ生産者以外にも加入を推進しました。
・29年度末加入者数 73名(うち新規加入1名)
7)浜の活力再生プラン支援事業について
熊本県有明海地域(荒尾市、長洲町、玉名市、熊本市、宇土市)で、浜の活力
再生広域プランを実施しました。
8)水産業競争力強化漁船導入緊急支援事業について
海苔システム船を導入し、持続可能な収益性の高い漁業経営を目指すために事業が実施されました。※自己負担分は5年間のリースで支払い。
・事業を実施した組合員数 3名
・事業に要した経費 126,850,670円 助成金の額 63,425,335円
9)水産基盤整備事業(水産業共同利用施設整備)について
効率的に漁業資材、漁獲物等を揚げ下ろしする施設、ホイストクレーン2基を天明漁港代替物揚場に設置しました。
・事業費 4,968,000円
うち県交付金(1/3以内)1,040,000円 市町村費(1/20以内)230,000円
10)水産業競争力強化漁船導入緊急支援事業について
海苔システム船を導入し、持続可能な収益性の高い漁業経営を目指すために事業が実施されました。※自己負担分は5年間のリースで支払い。
・事業を実施した組合員数 3名
・事業に要した経費 126,850,670円 助成金の額 63,425,335円
11)各種事業について
熊本県漁連が窓口となり昨年度同様に実施された、熊本県補助事業の海岸清掃及び海底清掃事業、九州農政局及び全漁連委託事業のナルトビエイ駆除事業、九州農政局委託事業の有明海底質環境調査事業、九州農政局委託事業の有明海特産魚介類生息環境調査に参加し、漁場の保全に取り組みました。
12)その他
・7月1日開催の第4回理事会にて代表理事組合長に藤森隆美理事が再任されました。
・12月12日開催の第4回資格審査委員会にて委員が次のとおり再任されました。
採貝漁業代表と地区代表兼務 藤森幸男、池田久、前田伍雄、木村雄二
網漁業者と地区代表兼務 坂本誠路
のり漁業代表と地区代表兼務 中山直美
学識経験者と公益代表兼務 内村 徹
任期 平成29年12月12日から平成32年12月11日まで
委員長 藤森幸男 副委員長 坂本誠路
(2)対処すべき重要な課題
特になし
組合員及び出資口数
貸借対照表
損益計算書
共済事業
購買事業