令和5年度通常総会を7月1日に開催しました。
第1 事業報告(事業概況書)
第4年度【令和4年5月1日から令和5年4月30日まで】事業報告(事業概況書)
Ⅰ 組合の事業活動の概況に関する事項
1.一般的概況
今期の乾海苔生産は、小雨や動物プランクトンを原因とする赤潮の影響で栄養塩不足が長引き秋芽網は色落ちが発生し、冷凍網の収穫が本格化する1月には、寒波に伴う強風でノリ網や支柱などの養殖施設が損壊する被害が相次ぎました。記録的な不作に見舞われた4県有明海産養殖ノリの販売枚数は前期の6割弱と大幅に減少し、生産減に伴う単価の上昇は全国的な傾向で、熊本県平均は18.28円と前期比で6.53円上昇しました。
あさり産地偽装問題を受け、熊本県は「産地偽装問題を根絶するため3原則」①産地偽装あさりの一掃、②徹底的な調査取締り、③純粋な県産あさりの流通戦略をかかげて、県産あさりの信頼回復に向けた取り組みがおこなわれました。また6月24日に「熊本県産あさりを守り育てる条例」を制定し、「あさり資源特別回復区域」と「あさり資源育成促進区域」を指定し、県産あさりを守り育てる取組みも実施されています。
このような中、販売事業の海苔の取扱いが前年度を上回る結果で、組合収支につきましては、8,377,596円の黒字決算となりました。
主要な事業活動の内容及び成果については次のとおりです。
➀.共済事業
本年度も役職員で目標金額を設定し推進した結果、新規契約の普通厚生共済(チョコー)は達成率102%の5,200万円、生活総合共済(くらし)は達成率100%の4,500万円、火災共済(かさい)は達成率104%と達成しましたが、乗組員更生共済(ノリコー)は達成率83%でした。
②.購買事業
全体の取扱高から見ると前年比62%の10,800万円と減少しました。汚濁防止ネット等の工事関連資材の取扱いが前年度10,100万円から、本年度は3,500万円に減少したのが主な要因です。
③.販売事業
1)海苔
今期の経営体数は当初は7名でしたが、冷凍網生産から1名が休業され6名で生産がおこなわれました。種付けは10月24日に開始され、種付開始後から雨がほとんど降らず、水温も高い状態が続いたため赤潮も発生し、生育が遅れ、秋芽網の生産枚数は少なく厳しいスタートとなり、12月以降の降雨で海況は改善傾向にあり、数量、品質ともに終盤に回復したものの、12月27日から冷凍網を出庫し年末から再び小雨に見舞われ冷凍網の生育も色づきも遅れた。1月下旬になってようやく海況が回復した矢先に1月24日の強烈な寒波に伴う強風で支柱の倒壊や網の破損し被害を受けました。記録的不作の影響を受け全国的に品薄になっており、生産枚数で87%減の15,579,300枚、金額で139%増の299,215,536円、平均単価は7.26円高の19.20円という好結果でした。
2)貝類
「熊本県産あさり」を消費者が安心して購入できる、流通体制を整備した産地偽造防止プロジェクト「熊本モデル」を導入し、純粋な県産あさりを消費者に確実に届ける体制整備が進められました。
取扱金額から見ますと、今年度は前年度より18%少ない7,231万円の取扱いで、数量はアサリは2トン少なく30.9トン1,832万円、ハマグリは38トン少ない63.8トン5,398万円でした。
3)その他
クルマエビ・魚類の市場取扱高は昨年度1,200万円から1,100万円と若干少なくなりました。中目流し網漁業によるタチウオ漁は今年も好調でしたが、クチゾコ刺し網漁は不漁でした。クラゲとおごのりの取り扱いはありませんでした。
④.指導事業
1)水産多面的機能発揮対策事業について(川口二枚貝保全活動組織)
本年度も干潟や河口域のヨシ帯の機能回復を通じて、地先の干潟環境の保全を進め、地域環境及び資源の維持・回復を図りました。特に本年度は老朽化しているアサリ保護区の修復を図りました。
・事業費 20,006,822円 ・交付金 20,000,000円
(内訳:国費1,400万円、県費300万円、市町費300万円)
2)水産多面的機能発揮対策について(緑川河口保全活動組織)
本年度も緑川河口域の畠口漁協から網田漁協までの5組合漁業者で、緑川河口海域の海洋汚染等の原因となる漂流、漂着物、堆積物処理活動を行うことで、海域の水産多面的機能の発揮を図る活動を、国の支援を受け実施しました。
・事業費 6,500,000円 ・交付金(国費)6,500,000円 ・うち川口 2,856,743円
3)アサリ・ハマグリ等資源重点保護対策業務について
本年度も熊本県の委託を受け、アサリ・ハマグリ生息量調査、保護試験区の設置、干潟の耕うん、食害生物駆除及び防止網設置、網袋設置、試験区の管理作業等を実施しました。
・事業費 8,254,765円 ・委託料 8,250,000円(県費)
4)クルマエビ試験区設置及び撤去業務について
本年度も熊本県の委託を受け、熊本県水産研究センター指導のもと、クルマエビの小型種苗の新たな放流手法として、アサリ保護区内に簡易的に安価に設置できる簡易囲い網を設置し、囲い網から徐々に種苗が出ていくことで、放流直後の魚類等からの捕食を防ぐ放流技術開発試験を実施した。
・事業費 311,710円 ・委託料 200,000円(県費)
5)漁連委託事業について
熊本県漁連からの委託を受け実施しました。
①有明海特産魚介類生息環境調査(アサリ着底促進)業務
アサリ着底促進及び保護、網袋及び被覆網の維持管理、生息調査
・事業費 944,000円 ・委託料 930,000円(県費)
②有明海特産魚介類生息環境調査(アサリ稚貝保護対策)業務
被覆網(4m×5m)50枚設置
・事業費 2,230,817円 ・委託料 2,230,000円(県費)
6)熊本県産あさりブランド再生事業について
①熊本県産アサリブランド再生事業
アサリ保護のため被覆網(4m×50m)を507枚設置
・事業費 3,909,200円
②県産あさり資源回復事業
採苗のための網袋100袋設置、保護のための被覆網(4m×10m)35枚設置
・事業費 724,826円
7)繁殖保護事業について
稚エビ放流事業を本年度も当組合が窓口となり放流しました。放流実績は、
・7月12日 4県共同放流 172,000尾
・7月21日 熊本市 390,000尾
・7月22日 宇土市 84,000尾
・8月 5日 熊本市上下水道局 225,000尾
・8月25日 熊本市上下水道局 365,000尾 計 1,236,000尾
ハマグリの繁殖保護及び価格調整を図るため、保護区内にハマグリを蒔き付け回収しました。回収実績は、
・12月 9日 1,700kg×1,500円=2,550,000円
・ 2月 8日 1,124kg×1,600円=1,798,400円
・ 2月 9日 1,128kg×1,600円=1,804,800円 計 3,952kg 6,153,200円
組合単独でハマグリを保護区内に蒔き付けました。蒔き付け実績は、
・ 9月20日・23日 860㎏×658円=566,303円
・10月 5日・10日 1,111㎏×643円=714,318円
・10月21日~26日 814㎏×655円=533,001円
・11月 7日~ 9日 444㎏×767円=340,840円
・ 1月 4日~ 9日 1,831㎏×1,000円=1,831,000円
・ 3月 5日 904㎏×800円=723,200円 計 5,964kg 4,708,662円
8)漁業経営セーフティーネット構築事業について
機器等導入、リース事業等の支援を受けるためには、セーフティーネット事業の加入が条件となっているため、燃油高騰に備えると共に、採貝者を含めたノリ生産者以外にも加入を推進しました。
・令和4度末加入者数 74名(うち新規加入8名)
本年度は1,755,804円の補てん金の支払いがありました。
9)競争力強化型機器等導入緊急対策事業について
エンジン出力アップによる運搬能力の向上及び生鮮出荷の迅速化を図り持続可能な収益性の高い操業の確立を目指すため、船外機の買い換えを実施した。
・事業を実施した組合員数 4名
・導入金額 9,744,790円
・補助金の額 3,584,000円
併せて、エンジンに係る設備諸費用については「浜の活力再生加速化支援事業」を利用し事業を実施した。
・補助金の額 844,000円
10)銅像建立について
藤森隆美代表理事組合長の功績をたたえて銅像を建立しました。
アサリ貝は昭和56年度をピークに激減し昭和60年代には全く存在しない漁場となっていた。浮遊幼生は時期にあると現れるが、漁場に着底しても数ミリ程度までは成長するが大きくなる前にへい死する状況が続いていた。そこで漁場砂質が原因ではないかと考え、平成7年度に熊本県赤瀬沖漁場の白砂を盛り砂し漁場造成を試みた。当時は「砂の上に砂を撒いて無駄な経費を使うな。」と厳しい意見があったが、その結果、盛り砂した区域だけ稚貝着底後、順調に生育が確認されアサリ復活の兆しが見え始めた。現在の覆砂事業の礎を築いた。
その後、様々な資源管理や繁殖保護等に力を入れ、「浜に笑顔を!!組合員の生活を豊かに!!」をモットーに現在に至る。
2000年 2月28日~現在 川口漁業協同組合 代表理事組合長
2018年10月22日~現在 熊本県漁業協同組合連合会 代表理事会長
2022年 6月24日~現在 全国漁業協同組合連合会 監事
建立日 2022年11月11日
11)掲示板について
国土交通省緑川ダム管理事務所より「緑川ダム放流情報表示板」が設置されました。緑川ダムから放流を行う際、「放流中」と表示し、併せて回転灯を点灯させ、お知らせされます。放流時には急激に水嵩が増す場合がございますので、操業、漁船避難等にご活用願います。
12)その他
熊本県漁連が窓口となり昨年度同様に実施された、熊本県補助事業の海岸清掃及び海底清掃事業、九州農政局及び全漁連委託事業のナルトビエイ駆除事業、九州農政局委託事業の有明海底質環境調査事業、九州農政局委託事業の有明海特産魚介類生息環境調査に参加し、漁場の保全に取り組みました。
2 対処すべき重要な課題
特になし
事業成績並びに財産及び損益の状況