川口漁業協同組合の概要 平成20年度の業務報告

平成20年5月1日から
平成21年4月30日まで

一般的概況
 一昨年の度重なる大雨の被害を受けアサリ稚貝が死滅した結果、アサリ漁獲高は、
19年度の1,787トン56,674万円に対し、20年度は470トン16,641万円と激減しました。
ハマグリ漁獲高は横ばいに推移し、19年度の167トン14,889万円に対し、20年度は
152トン14,867万円と安定し、ハマグリ資源管理の取り組みが顕著に現れましたが、
しかしながら採貝漁業者は厳しい一年でした。
 海苔につきましては3名の行使者が廃業され、取扱高は19年度の26,805万円に対し
20年度は18,992万円と30%減でしたが、1世帯平均にすると6%減にとどまり、秋芽
網生産の不作を考慮すると先ず先ずの一年でした。
 網漁業につきましては、19年度の827万円に対し20年度は958万円と相変わらず
厳しい状況です。
 基盤産業となる共販事業の収支が、19年度の4,149万円に対し20年度は1,802万円と
マイナス43%の減収、それに伴う関連資材の売り上げ不振も重なり、2,621,921円の
赤字決算となりました。

主な事業活動と成果については下記のとおりです。
①信用事業
 組合共販出荷者及び漁業後継者に限り熊本市の農林漁業振興資金の貸付を実施
しました。

②共済事業
 組合員の利用満足度向上を目指し、新契約目標金額を定めて推進を行った結果、
チョコー(普通厚生共済)目標1億円に対し1億円、くらし(生活総合共済)目標
6,000万円に対し8,800万円、火災(火災共済)目標3億円に対し3億350万円と目標を
達成しました。

③購買事業
 販売事業低迷により関連資材の売り上げも伸び悩み、19年度供給高9,520万円に対し
20年度供給高は5,480万円と、前年対比で4,040万円の減少でした。

④販売事業
 アサリ不漁及び海苔生産者の減少等により、アサリ・海苔とも不漁だった16年度の
5億5,200万円を下回る、5億1,500万円と近年にない取り扱いでした。明るい話題と
しては、当組合ブランド「アカツキ海苔」の価格が、1枚あたり101.50円という熊本県下
最高価格で落札されました。

⑤利用事業
 本年度も、漁船修理保全施設の利用率向上を図るために、周辺堆積ヘドロの除去を
行政に依頼し実施いたしました。

⑥指導事業
・漁場造成事業について
 平成16年度に実施した県営事業による作レイ箇所が、ヘドロ堆積により漁場機能を
果たしていなかったので、回復を図るために作レイを実施しました。 

・アサリ漁場造成について
 当組合アサリ未開発漁場を利用し水産庁による実証試験が行われました。
帯状覆砂については、覆砂材が周辺域に広がることによりアサリの初期稚貝が着底している
ことが確認されました。ナルトビエイ食害対策として設置した電気パレス発生装置には、
ナルトビエイの食害低減効果があると推測されました。
 また、今後、海砂入手が困難になると予想されるため、海砂の代替資材として採石場から
の砕砂を利用する試みについても、当組合アサリ未開発漁場を利用し無償にて
行われました。(40m×40m×0.3mの2箇所 各500立方m)

・ハマグリ繁殖保護について
次のとおり公示し、ハマグリ資源の繁殖保護を図りました。
 理由:アサリ・ハマグリ漁業は、第1種共同漁業権に基づき有共第14号・17号第1種共同
漁業権行使規則により組合員が行使している。その漁業権行使規則第10条で、水産動植物の
繁殖保護、また漁業調整上必要がある場合は、漁業の方法等を制限することができる。
アサリ資源の減少に伴い、ハマグリ漁業を行ってからアサリ漁業を行うというように
このままでは、ハマグリ資源もアサリ資源と同様に減少する恐れがある。
3共有組合漁民大会(平成20年11月7日開催)等で対策を協議した結果、繁殖保護、また漁業調整
上必要があると認められたので次のとおり定める。

1)ハマグリ漁獲サイズの制限について
 拡幅6.2分(18.6ミリメートル)以上とし、組合指定の6.2分ユリ目を使用し選別をおこない
出荷する。規格より小さいハマグリは再放流し、持ち帰り及び販売は禁止する。
                     (実施時期 平成21年4月1日から)

2)ハマグリ操業のみの区域設定について
ハマグリ操業のみの区域として設定し、使用するヨイショの目合は6.2分(18.6ミリメートル)
以上とする。               (実施時期 平成21年4月1日から)

 なお、低価格及び産卵期等で資源管理・繁殖保護等の必要がある場合は、3共有組合協議の
上、この区域に限り期間を定めて操業を取りやめる場合もある。

○共同漁業権行使規則の違反者に対する措置:理事会の承認を得て、当該漁業の行使を15日
間停止すると共に出港を停止する。

・漁場管理指導船「第3えいしん丸」のエンジン老朽化に伴い、エンジンを換装しました。

⑦その他
・代表監事の堺定さんが、長年にわたり熊本県の水産業発展に寄与された功績を
たたえられ、熊本県から農林水産業功労者として表彰されました。



当該事業年度及び直前三事業年度の事業成績並びに財産及び損益の状況



第20年度 損失金処理計算書



組合員及び出資口数




役員



購買事業



販売事業


H20貝類共販実績


のり共販実績



魚類(市場関係)実績



組合員の所有する漁船の漁業種類別、トン数階層別隻数
漁業種類別経営体数、地区内の漁業種類別水揚数量及び水揚金額



美味しい「初摘みノリ」の生産が始まりました。


10月18日に種付けを行い順調に水温も低下し、また、ノリの成長に欠かせない栄養塩も順調に推移した結果、例年になく、美味しい「初摘みノリ」が出来上がりました。
先陣をきって、11月22日から3名の生産者(中村会長、橋本さん、西村さん)が生産が開始されましたので、出来た製品を食してみたらビックリ!!
「甘味・風味・色・つや」の4拍子をそろえ、なおかつ、食感の「歯切れ」の良さが際立ち、最高の美味しい「初摘みノリ」です。









皆様にも、美味しさ「初摘みノリ」の感動を伝えたいと考え、摘採及び加工風景をご紹介します。

11月23日 秋晴れ(晴れていても、海はとても寒かったです。)
漁場は「浮き流し漁場」です。漁場に着いたときは、中村会長は既に摘採作業を終えられていましたので、橋本さんのノリの製品が出来るまでをおいかけてみました。
・・・中村会長の朝は早い!!
「システム船」を用いて摘採作業をしておられます。
その場で生のノリを食べてみたらとても美味しかったです。
浮き流し施設(通称:セット)には、1セットあたりノリ網が30枚張り込まれており、
橋本さんは、今日は3セット摘採されました。




加工風景です。
摘採された生ノリは、海水を入れた「カクハン水槽」に入れ鮮度を維持します。
・・・この海水は「備長炭」を入れた漁協の400トンの海水槽から取り入れています。




「カクハン水槽」・・鮮度を維持します。
→ 「あらゴミ取り機」・・ゴミを取ります。
→ 「あら切り機・・ノリを4cm~5cmに切ります。
→ 「ノリ洗い機」・・ノリを洗います。
→ 「異物除去機」・・再度、ゴミを取ります。
→ 「混成機」・・・・ノリを5mmに切り、真水で洗います。
→ 「熟成機」・・・・再度、真水で洗います。
→ 「調合機」・・・・ノリと真水を適度に調合し、ノリの厚みを調整します。
→ 「沈むゴミ取り器」・・念のため、沈むゴミを取ります。
→ 「乾燥機」・・・・・乾燥します。
約2時間で1枚の乾燥した四角い海苔になります。
→ 「ぬれセンサー」・・きちんと乾燥しているかチェックします。
→ 「異物・破れ選別機」・・異物と破れを選別します。
→ 「折り曲げ機」・・10枚に数えて折り曲げます。
→ 「結束機」・・・・10枚を10束づつ100枚に結束します。
→ 「ストックエース」・・結束した製品をストックします。
→  3,600枚入り海苔箱に入れて製品のできあがりです。

このできあがった乾海苔は11月30日開催の「第1回乾海苔入札会」に出品し、熊本県漁連の指定商社63社が落札されます。

組合長のコメント
今年は海況にも恵まれ、最高の海苔ができあがりましたので、消費者の皆様に、是非、ご賞味していただきたいと思います。
また、指定商社の皆様に対しましては、品質管理はもとより衛生面に関しても徹底指導し、安心・安全な海苔つくりに努めておりますので、本漁期も宜しくお願いいたします。

集団管理で健全なノリを育苗

11月10日集団管理で健全なノリを育苗

健全なノリを育苗するため、潮位2メートルの高さに目印をつけて、集団管理を行なっています。(11月10日 藤森組合長みずから生産者のために作業をします。)

  

料理研究家 出倉秀男さんからお礼のお手紙


世界的に有名なシドニー在住の料理研究家 出倉秀男さんが川口漁業協同組合を尋ねてこられ、たしか、2008年の4月ごろだったと思いますが、当組合生産者の海苔つぐりに対する姿勢に興味をもたれたそうで、一緒に海へ連れていき、色んな話をした事を思い出しました。
後日、「お話をさせてもらうなか考えさせられることがたくさんあり、日々、日本で堅実に食生活の基を支えてらっしゃる姿に共感し、私も、国内外において食文化の向上と継承に尽くしていきたいと再確認しました。」とお礼のお手紙と、オーストリア、イギリスにて出版された本「Essentially Japanese」が送られてきました。
出倉さん ありがとうございました。







記念の1枚です。写真手前が出倉さんで、奥がわたくし参事の福島です。

ホテル日航熊本にて肥後ハマグリ祭り

肥後ハマグリ祭りに行ってきました。

10月1日から10月31日までホテル日航熊本にて開催されております。まだ、間に合います。
熊本はハマグリ生産量日本一を誇り、外殻の文様の美しさも定評があり、上品かつ濃厚な味は格別です。そのハマグリを和洋中のレストランシェフがそれぞれの調理法で提供されております。
もちろん川口漁業協同組合の生産者が採ってきた「天然ハマグリ」を使用しておられますので、美味しいのは当たり前です。




  
2階にある「セリーナ・フアウンテン」の肥後ハマグリの白ワイン蒸しです。
香りひきたち、濃厚かつ上品な味、とっても美味しかったです。

・ハマグリの健康効果
 低脂肪でコレステロールが少なく栄養豊富な食材です。血圧やコレステロールを下げ、肝機能の働きを高め解毒作用を促進する働きのあるタウリンを多く含んであります。また、貧血の予防となるビタミンB12や鉄、骨や歯の発育を推進させ骨粗鬆症の予防になるカルシウムなども多く含んでいます。
 貧血予防、肥満防止、生活習慣病対策、免疫力アップに、ハマグリは最適な食材といえます。

○問い合わせ先
                 ホテル日航熊本 熊本市上通町2-1
                 ℡ 096-211-1111


川尻神宮秋季大祭「年行事」奉納

今年は、川尻神宮秋季大祭「年行事」奉納の大役が川口地区に14年ぶりに廻ってきました。
この行事は古い歴史と伝統があり、漁業者を含めて地区住民が全員一丸と成りで執り行われました。
この祭りは10月17日から19日まで行なわれ、のり種付け作業と重なり大忙しでした。




10月19日早朝の行列写真です。
マイク片手に指示をしているのは藤森組合長です。行列を引きつれ、こちらも大忙しです。
藤森組合長は、豊漁と豊作を祈願し奉納をされたと思われます。
                           きっと明日はダウンされると思われます・・・・










2009年10月18日 熊本海苔の種付けの様子


川口漁業協同組合では10月18日夜明けより海苔の種付け作業をしました。藤森組合長が豊作と安全を願って海苔網に御神酒を捧げました。宝の海の神様よろしくお願いします。今年も最高の美味しい海苔を作ると全員笑顔で作業をしました。


ノリの種付時期を控え、水草除去作業開始

・平成21年9月10日
 ノリの種付時期を控え、例年どおり水草除去作業が開始されました。
 水草(ウオーターレタス・ホテイアオイ等)は水の浄化作用がある一方で、海に流出するとノリ網に絡んで目をはがしたり、漁船のスクリューに絡まったり等の漁業被害が発生します。
 対策として河川内に水草流出防止ネットを設置し、溜まった水草を回収しています。








回収した水草は、乾燥させて環境工場で焼却処分されます。
 ※藤森組合長のコメント
  水草だけではなく、家電製品やペットボトルなどの不法投棄ゴミも目立ち、河川や海への環境保全の協力を求めたい。
 近年の温暖化がこんなにかたちで現れて、今後が心配!!

ノリシーズン到来です!!生産者の作業風景

・生産者の作業風景
平成21年9月3日(木)
やっとノリシーズン到来です!!
到来といっても・・・支柱漁場の養殖施設の設置作業が開始されます。
先ず、生産者が漁場の場所割り作業を共同で行なわれます。
全員、今シーズンの豊漁を期待し、自然と笑みも出て、話が盛り上がっているようです。
 
 







場所割りが終了したら、翌日から設置作業が行なわれます。
 
 








 
 
今漁期の豊作を願い作業を見守る藤森組合長です。