平成22年4月30日まで
一般的概況
漁家経営の基盤となる、アサリ漁業不振により一段と厳しい状況が続いています。このような中、国の輪番休業制度を取り入れ、資源回復・漁場生産力強化事業を実施した結果、資源管理意識が向上すると共に、漁業者間の隔たりもなくなり、成果があったと確信しております。
このような状況のもと、販売事業計画4.9億円に対し、実績3.4億円と31%減 というように基盤事業の落ち込みはありましたが、各事業を積極的に推進した結果、当期損失金931,286円と最小限に抑えられ、前期損失金2,621,921円をプラスして合計3,553,207円の損失決算となりました。
主な事業活動の成果については下記のとおりです。
主な事業活動と成果については下記のとおりです。
①信用事業
熊本市農林漁業振興資金で、漁船建造資金1件、漁業後継者育成資金を1件、 合計2件の貸付を実施しました。
②共済事業
漁家経営が厳しい中、組合員の生命・財産を守るため積極的に推進した結果、 保有高は若干減少しましたが、新規契約については普通厚生共済、生活総合共 済は計画を達成することができました。
③購買事業
石油類は製品価格が不安定の中、安定供給に努めた結果、前年対比107%と 横ばいに推移しました。
全体的に見ますと、河川の汚濁を防止する資材を含めた、工事関連資材の 売り上げが前年対比205%と大幅に増加した結果、昨年度より1,600万円増の 取扱いでした。
④販売事業
海苔については、秋芽生産は平年より好調でしたが、主力の業務用に適する 冷凍網生産の中盤以降は色落ちと大雨により伸び悩みました。しかし、全国的 に海況が悪化し不作となった結果、下物価格が割高となり相場が堅調に推移しました。
平均単価は昨年より6銭安の9.80円、生産枚数は昨年比104%、金額で前年対比103%となりました。
貝類のアサリについては、19年度1,787トン566百万円をピークに、ホトトギス貝の異常繁殖等により20年度470トン166百万円、21年度は105トン48百万円と急激に減少し厳しい結果となりました。
ハマグリについても、一昨年度からのアサリ減少に伴いハマグリへの漁獲圧 が集中し産卵母貝も減少した結果、20年度は152トン148百万円、21年度は約5割 減の76トン89百万円と厳しい状況でした。
⑤指導事業
1)資源回復・漁場生産力強化事業について
11月16日から翌1月31日までの期間、12グループ総勢298名で、採貝操業の指導・監視、有害生物の駆除、流出水草の回収作業を輪番で休業し取り組みを行ないました。
事業費は総額56,614,608円でした。
2)アサリ漁場造成について
熊本港周辺海域漁業振興事業で、海砂の代替骨材として採石場からの出る砕いた砂を用いて覆砂を実施した結果、秋子稚貝の着定が確認されました。
また、熊本市事業主体で緑川浮灯台周辺の海砂をアサリ漁場に覆砂されましたが、この区域も秋子稚貝の着定が確認されました。
3)繁殖保護事業について
網漁業者については相変わらず不漁が続いておりますが、例年同様に熊本市、宇土市、4県合同の稚えび放流事業を、当組合が窓口となり実施しました。9月 に放流した稚えびが、当漁場で越冬した形跡も確認され、今後に期待が持てる明るい結果が得られました。
4)有明海漁場造成技術開発委託事業について
効果的なアサリ漁場を造成することを目的に、当漁場の一区画において水産庁による覆砂等技術の実証試験を継続で行なうと共に、平行して電気パレスを用いてナルトビエイ食害対策の試験を行ない、技術開発の取り組みをおこないました。
5)各種事業について
熊本県漁連が窓口となり昨年度同様に実施された、熊本県補助事業の海岸清掃及び海底清掃事業、九州農政局及び全漁連委託事業のナルトビエイ駆除事業,
九州農政局委託事業の有明海底質環境調査事業に積極的に参加し、漁場の保全に取り組みました。
また新規事業として実施された、九州農政局委託事業の有明海特産魚介類生息環境調査にも参加しました。
6)その他
理事、山野眸さんが長年にわたり、熊本県の水産業発展に寄与された功績を
たたえられ、熊本県から農林水産業功労者として表彰されました。
その他組合の事業活動の概況に関する重要な事項
9月30日、緑川河口地域漁業振興対策連絡協議会(会長、宇土市長)を窓口として、
緑川流域を漁業を営む畠口・海路口・川口・住吉・網田の5組合で、国土交通省緑川ダム
管理所へ、要望書を提出いたしました。
未だ実現はなされておりませんが、引き続き運動していきたいと思いますので、ご理解
ご協力願います。 要望内容は次のとおりです。
初秋の候、国土交通省緑川ダム管理所におかれましては益々ご清栄のこととお慶び申し
上げます。このたびは我々の要望活動のために時間をとっていただきありがとうございま
す。私ども緑川河口域で漁業を営んでいます組合員は、畠口漁協から網田漁協までの5組
合をあわせますと1,570人在籍しており、その大半が採貝漁業者としてアサリ・ハマグリを
採捕して生計を立てております。特にアサリ貝については昭和56年をピークに激減し、昭
和60年代には全く存在しない漁場となっておりましたが、行政と連携して漁場造成事業に
取り組むと共に、資源保護管理等に務めてまいりました。その成果が見えはじめ、20年度
のアサリ漁獲高は、緑川河口域の5組合で4億8千9百万円の取り扱いと、復活の兆しが現れ
ておりますが、漁場によっては生産量が安定せず、漁業者は将来に対して大きな不安を抱
いております。緑川の上流から河口域へ運ばれる砂は、アサリ・ハマグリが生息する漁場、
また、エビ・魚類が産卵・生息する漁場には欠かせない環境を造ります。
しかしながら、緑川ダムの影響を受けアサリ・ハマグリ稚貝の発生・育成に欠かせない
上流からの砂の流入が全くなく、現在は県・市から補助をいただき、他地域の高額な砂を
購入してわずかな面積の漁場整備を図っております。
このような現状を察しいただき、国土交通省様のお力により緑川ダム内に堆積している
砂の中から良質な砂を、下記によりお願いし、我々5組合の漁場に覆砂いただき、人が手
を加えない以前の環境に回復するよう、ご配慮をお願いいたします。
記
①緑川ダム内に堆積している砂を調査選別
②選別した砂を現地に運搬
③港より覆砂地へ搬入覆砂
組合員及び出資口数
貸借対照表
損益計算書
共済事業
購買事業
販売事業
地区内漁業の概況
漁業種類別経営体数、地区内の漁業種類別水揚数量及び水揚金額
H21貝類共販実績
乾のり共販実績