川口漁業協同組合の概要 令和3年度の事業報告

第1 事業報告(事業概況書)

第3年度【令和3年5月1日から令和4年4月30日まで】事業報告(事業概況書)

Ⅰ 組合の事業活動の概況に関する事項
  1.一般的概況
 令和4年1月22日、海外産のアサリが熊本県産と偽り流通しているとの産地偽装に関する報道を受け、熊本県知事は熊本県漁連会長に対し、県産アサリの出荷を2月から2ヶ月間停止するよう協力要請がありました。産地偽装根絶へ向け県漁連も全面的に協力し、「県産アサリ緊急停止宣言」が発せられ、2月8日から2カ月間アサリ出荷が停止となりました。また産地偽装の風評被害がハマグリにも及び、熊本産を理由に買い手がつかない状況が続き、ハマグリ漁もいったん操業を見合わせる事態となりました。
 4月12日からアサリ漁を再開し、県産アサリの販売再開に際し県は、漁獲から販売まで一貫して監視する独自のトレサビリティ(生産流通履歴)制度を導入、当面はモデル事業として販売先が限定され、6月以降はQRコードにより詳細な取引情報を確認できる態勢を整え、協力店を県外に拡大されます。
 このような中、販売事業が好調で、ノリ・アサリ・ハマグリ、魚類市場取扱いと前年度を上回る結果でした。
 組合収支につきましては、前年度同様、8,896,769円の黒字決算となりました。
 主要な事業活動の内容及び成果については次のとおりです。
 
➀.共済事業
 本年度も役職員で目標金額を設定し推進した結果、新規契約の普通厚生共済(チョコー)は達成率101%の5,150万円、生活総合共済(くらし)は達成率100%の4,500万円と達成しましたが、火災共済(かさい)は達成率96%乗組員更生共済(ノリコー)は達成率80%でした。

②.購買事業
 全体の取扱高から見ると前年比106%の17,400万円と昨年同様に好調でした。主な取扱いは、汚濁防止ネット等の工事関連資材が58%10,200万円、次に軽油の14%2,400万円、A重油の7%1,300万円という結果でした。

③.販売事業
1)海苔
 今漁期から生産者1名が廃業され経営体数は7名となりました。10月21日に種付けが開始され、適水温環境のもと、順調な採苗が行われました。秋芽網の生産は育苗期の色落ちで心配されましたが、品質・生産ともに順調に行われ、まずまずの結果となりました。冷凍網生産はクモリやマル等級の製品が目立ち収穫量が安定しない状況が続きましたが、最終的には昨年度と比較し1名生産者が少なくなりましたが、生産枚数で103%増の17,245,300枚、金額で107%増の198,838,799円という好結果でした。

2)貝類
 アサリ産地偽装が大きな問題となり、海外産アサリを「熊本県産」として販売する産地偽装品をあぶりだし偽装根絶を目指すために、アサリ漁は6潮間の操業禁止、ハマグリ漁は風評被害により1潮間の操業停止を行いました。
 取扱高はハマグリ漁については10年ぶりに100トンを超え、前年度と比較すると18トン1,780万円から102.7トン71,170万円と好調でした。アサリ漁につきましても0㎏から32.8トン1,670万円と復活の兆しが見え、価格面も4月12日のアサリ漁再開時からは1ネット当り8,115円と高値傾向となっています。

3)その他
 クルマエビ・魚類の市場取扱高は昨年度142万円から1,200万円と、中目流し網漁業によるタチウオ漁と、クチゾコ刺し網漁が好調でした。クラゲ取扱いは5,840kgで、おごのりの取り扱いはありませんでした。

④.指導事業
1)水産多面的機能発揮対策事業について(川口二枚貝保全活動組織)
 本年度も干潟や河口域のヨシ帯の機能回復を通じて、地先の干潟環境の保全を進め、地域環境及び資源の維持・回復を図りました。特に本年度は老朽化しているアサリ保護区の修復を図りました。
・事業費 20,009,795円  ・交付金 20,000,000円
       (内訳:国費1,400万円、県費300万円、市町費300万円)

2)水産多面的機能発揮対策について(緑川河口保全活動組織)
 緑川河口域の畠口漁協から網田漁協までの5組合漁業者で、緑川河口海域の海洋汚染等の原因となる漂流、漂着物、堆積物処理活動を行うことで、海域の水産多面的機能の発揮を図る活動を、国の支援を受け実施しました。
・事業費 6,500,000円  ・交付金(国費)6,500,000円  ・うち川口 2,014,081円

3)アサリ・ハマグリ等資源重点保護対策業務について
 本年度も熊本県の委託を受け、アサリ・ハマグリ生息量調査、保護試験区の設置、干潟の耕うん、食害生物駆除及び防止網設置、網袋設置、試験区の管理作業等を実施しました。
・事業費 8,380,856円  ・委託料 8,300,000円(県費)

4)クルマエビ試験区設置及び撤去業務について
 熊本県の委託を受け、熊本県水産研究センター指導のもと、クルマエビの小型種苗の新たな放流手法として、アサリ保護区内に簡易的に安価に設置できる簡易囲い網を設置し、囲い網から徐々に種苗が出ていくことで、放流直後の魚類等からの捕食を防ぐ放流技術開発試験を実施した。
・事業費 211,710円  ・委託料 200,000円(県費)

5)漁連委託事業について
 熊本県漁連からの委託を受け実施しました。
➀有明海特産魚介類生息環境調査(アサリ着底促進)業務
 砂利入り袋網等の維持管理及びモニタリング
 ・事業費 690,000円 ・委託料 690,000円(県費)
②有明海熊本県沖漁場環境改善(アサリ種苗試験)業務
 パーム椰子入り網袋設置及びアサリ生息モニタリング
 ・事業費 370,930円 ・委託料 370,000円(県費)
③漁業用プラスチック資材の海洋流出防止対策委託業務
 漁港巡回、啓発チラシの配布
 ・事業費 96,400円 ・委託料 93,000円
④有明海特産魚介類生息環境調査(アサリ稚貝保護対策)業務
 被覆網(4m×5m)50枚設置
 ・事業費 1,451,670円 ・委託料 1,451,670円(県費)

6)熊本港周辺海域漁業振興事業及び水産基盤整備交付金事業について
 平成24年度に取得した漁場管理指導船(第4えいしん丸)は、取得後8年が経過し老朽化が進み能力低下がみられたので、新たに漁場環境保全指導船(第5えいしん丸)を建造しました。
・事業費 16,618,800円
 内訳  熊本港周辺海域漁業振興事業5,000,000円
     水産基盤交付金 熊本県1,861,000円、熊本市1,510,000円
     組合負担8,247,800円

7)繁殖保護事業について
 稚エビ放流事業を本年度も当組合が窓口となり放流しました。放流実績は、
  ・7月  5日 4県共同放流 158,000尾  
  ・8月  3日 熊本市上下水道局 416,000尾
  ・8月20日 熊本市 425,000尾、
  ・9月  3日 熊本市上下水道局174,000尾、熊本市漁業振興協議会36,000尾
  ・7月29日 宇土市 113,000尾   計 1,322,000尾

 ハマグリの繁殖保護及び価格調整を図るため、保護区内にハマグリを蒔き付け回収しました。回収実績は、
  ・12月21日   1,590kg×1,000円=1,590,000円
  ・  4月20日   1,120kg×   701円=   785,120円
                    130kg×   880円=   115,440円   計 2,840kg 2,490,560円
  ※2月3日2,030kg回収、2月6日1,930kg返品再蒔き付け(手数料40万円)
 
 組合単独でハマグリを保護区内に蒔き付けました。蒔き付け実績は、
  ・7月12日~14日    182㎏×751円=    136,682円
  ・7月27日~29日    167㎏×625円=    104,375円
  ・8月19日~23日 2,824㎏×500円= 1,412,000円
  ・9月  2日~  8日 3,263㎏×400円= 1,305,200円
  ・3月  3日~  4日    929㎏×800円=    743,200円
  ・3月15日~17日   2,797㎏×700円= 1,957,900円 
  ・4月30日            264㎏×701円=    185,064円   計 10,426kg 5,844,421円
 
8)漁業経営セーフティーネット構築事業について
 機器等導入、リース事業等の支援を受けるためには、セーフティーネット事業の加入が条件となっているため、燃油高騰に備えると共に、採貝者を含めたノリ生産者以外にも加入を推進しました。
 ・令和3度末加入者数 74名(うち新規加入8名)
  本年度は695,487円の補てん金の支払いがありました。

9)競争力強化型機器等導入緊急対策事業について
 エンジン出力アップによる運搬能力の向上及び生鮮出荷の迅速化を図り持続可能な収益性の高い操業の確立を目指すため、船外機の買い換えを実施した。
 ・事業を実施した組合員数 4名
 ・導入金額  6,509,800円
 ・補助金の額 2,958,000円
併せて、エンジンに係る設備諸費用については「浜の活力再生加速化支援事業」を利用し事業を実施した。
 ・補助金の額  796,000円

10)各種事業について
 熊本県漁連が窓口となり昨年度同様に実施された、熊本県補助事業の海岸清掃及び海底清掃事業、九州農政局及び全漁連委託事業のナルトビエイ駆除事業、九州農政局委託事業の有明海底質環境調査事業、九州農政局委託事業の有明海特産魚介類生息環境調査に参加し、漁場の保全に取り組みました。


2 対処すべき重要な課題

 特になし

事業成績並びに財産及び損益の状況

組合員及び出資口数

役員

職員

組合の機構

組合員組織

施設

貸借対照表

損益計算書

購買事業

販売事業

剰余金処分案

地区内漁業の概況

貝類共販実績

乾ノリ共販実績